講演の記録
乳がん治療と気持ちの共有
谷澤:ホルモン療法にまつわることの中に、子宮体がんリスクがあります。少し教えていただけますでしょうか。
吉田:閉経後だとちょっと上がります。閉経前の人は変わらないっていうのはわかっています。
谷澤:ホルモン療法で月経が止まっている場合は閉経となるのですか?
吉田:いえ、タモキシフェンでは閉経しないです。それは化学閉経といって抗がん剤に伴う卵巣機能抑制で生理がとまっているだけで40代の患者さんでは半分弱は月経が戻ります。化学閉経の状態では、タモキシフェンによる卵巣がんのリスクは上がらない。完全閉経後だとリスクがあがって、その場合の子宮がんの発症は800人に2人くらいの割合ですね。
谷澤:では、それほど心配しなくてもいいんですか?
吉田:ということになっていますね。タモキシフェン服用の5年と10年のデータには、閉経前の方が半分くらい入っているのですが、5年服用と10年服用の人で子宮体がんのリスクは変わりません。 閉経後の方は0.2〜0.4%多くなっています。
原田:閉経後の方がタモキシフェンを服用すると、止まっていた月経機能が復活されるのでリスクが上がるという考えですよね。
そうなると、乳がん患者でなくても更年期障害でホルモン補充療法をしている方もエストロゲンを与えているから子宮体がんのリスクが上がるってことですか?
吉田:そうですね。
谷澤:治療をしているのに、他の部位にリスクを抱えるのを不安に感じる気持ちも分かります。
そういった気持ちも声に出すこと、自分の体に耳を傾けて、少しの変化も先生に相談できるといいですね。
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吉田:副作用が出ていてつらい気持ちをどういう風に伝えるか、どう共有してもらえるかというところもお聞きしたいです。
今こうやってみんなで百村さんの経験をお聞きしながら、副作用をどうしていくかって所で話しが進んできたけれども、副作用からくるつらい症状や気持をまわりの人に分かってもらって、生活しやすい環境をつくっていくかというのも重要なことだと思います。
周りには伝えにくいって言ってたじゃないですか。それってどうなんだろう?
百村:言えないこともありますね、共有するのは難しいですよ。
吉田:患者さん本人が言えないのか、 僕らが言えない環境をつくってしまっているのか。
残念ながら僕らが解決できるところではないのかもしれないけれど、やっぱり患者さんは共有したい、聞いて欲しい、分かって貰いたいって思いがあるんじゃないかと思っています。
百村さんはそこのところをどうしてきたか、是非この記事を読んでくれる人に伝えて欲しいです。
谷澤:百村さんは自分のことを話せる場所や、近い思いをしている方と接する機会はありましたか?
百村:はい。インターネットで検索していたら、